避難所・避難生活学会にてイタリア視察
避難所・避難生活学会という新潟地震を契機に新潟大学医学部の榛澤先生が提唱して立ち上がった学会があります。
大学の後輩がメンバーの一人で、避難所の生活改善の為に段ボールベットの活用を提唱しています。
大阪のダンボール会社の水谷社長です。水谷氏の熱い想いで一緒にイタリア視察を行い、その後の国会陳情につながりました。
一緒に避難所改善の実現に向けて一歩一歩進めています。
同じ地震大国なのに何が違うのか?
イタリアも半島国家で地震の多い国です。
2009年4月にイタリア中部の古都ラクイラで大きな地震が発生して、ラクイラ大学の学生をはじめ多くの市民が犠牲になりました。
地震対策の検証をするために、現地に行って調査をしてきました。
我々が訪問する直前に雪山で雪崩被害が発生しスキー客がロッジ内で被災した事案も発生したために、雪山被害のオペレーションの最前線も見ることができました。結論から言うと、イタリアと日本の違いは緊急事態に対応する法律が整備されていないことです。
憲法に緊急事態条項を明記すべし
2011年の東日本大震災の時に、持ち主不明の車両を勝手に移動できずに瓦礫の撤去作業が滞ったと言う事態が発生しました。
憲法で保障された財産権が強く、緊急事態に超法規的処置の判断が出来ないという間抜けな事態が発生したのは記憶に新しいところです。
時の首相が菅直人であった事も我が国には不幸であったと言えます。
イタリアでは、災害時に市民安全省が頭になり軍隊からボランティア団体までが指揮下に入ります。
システマティックなのは予め登録した職能団体が、災害発生時には有給扱いで避難所に派遣されます。
避難所にT K B(トイレ・キッチン・ベット)
避難所にトイレ・キッチン・ベットの充実をすべき。というのが避難所学会の提言です。
特にトイレ。被災直後の避難所は水等のインフラが止まっている事が多く、トイレ環境は最悪です。
高齢者等はトイレの回数を減らしたいとの意識から水分を我慢してエコノミークラス症候群の発生源になってしまいます。
食事は温かいものを提供できる体制を作る必要があります。イタリアでは先程のボランティアの職能団体がコックを現地に派遣し、温かい食事をキッチンカーで提供します。食材も人材も被災地のボランティアではなく、隣県の職能ボランティアが担います。
イタリアですから避難所の食事にも当たり前のようにデキャンタのワインがついていました。文化の違いを感じます。
100年前から体育館に雑魚寝の先進国日本
友人の水谷社長は避難所で当たり前にベットで休める環境を整備したいと災害が発生する度に、手弁当で被災地支援に奔走しています。
水谷氏が持っている写真は100年前の台風時の避難所と最近の避難所の様子が写っています。
100年間に何も進歩していない現実に愕然となります。
イタリアの実情では、家族ごとにテントが用意されベットとプライバシーも確保されています。
この資材も隣県から持ち込まれます。
イタリア訪問の時に「日本では体育館で雑魚寝している」と言うと「イタリア以上の経済規模を持つ日本が雑魚寝とは信じられない」と驚かれました。まずは体育館にダンボールベットとパーティションで区切った資材は用意したいものである。