MMの京セラ訪問と、エストニア視察の知見から横浜の電子投票を考える
現在、投票率の向上や選挙運営の効率化が全国的な課題となっています。本市のような大都市において電子投票・ネット投票がもたらす可能性は大きいと考えます。
そして、地方選挙においては、条例制定をすれば電子投票の実現は可能です。先日の「京セラ株式会社(みなとみらい)」での調査と、2017年の「エストニア・eガバメント視察」で得た知見を交えて報告いたします。

2017年のエストニア・eガバメント視察
1.視察の背景と現在の国内電子投票の立ち位置
選挙のデジタル化において、最も理想的な姿は「自宅や外出先からスマートフォンやPCを用いて行うインターネット投票」の実現です。
しかし、今回の京セラ訪問では、現時点での国内の電子投票は、投票所に専用の電子端末(事業者によるリース機器)を設置し、「投票後の開票・集計作業の軽減・迅速化」に主眼が置かれている状況でした。
手作業による開票ミスや遅延をなくすという意味では、電子投票のスタート(第一歩)として一定の評価ができるものの、国政や自治体選挙の抜本的な改革としては、まだ発展途上の段階にあると言えます。

「京セラ株式会社(みなとみらい)」での調査
2.国内システムに見る課題と、エストニアの先進事例から学ぶ解決策
今回の調査、および現在の日本の投票環境を振り返ると、将来的な普及に向けて2つの大きな課題が浮き彫りになります。
また、ネット投票の導入に対しては、常に「成りすまし」「脅迫」「選挙買収」のリスクが指摘されます。
しかし、私が2017年に視察した電子政府の先進国エストニアでは、これらに対する極めて合理的な制度設計がなされています。
エストニアのネット投票は「期間中であれば何度でも投票可能」であり、「一番最後に行った投票が有効」になります。
さらに、「最終的には投票所において『紙』で投票した内容が最優先される」仕組みです。
これにより、仮に誰かに脅迫されたり買収されたりして不本意な投票をさせられたとしても、後から本人の意思で上書き・取消ができるため、買収や脅迫自体を無意味化(無効化)することに成功しています。
3.横浜市への提言:選挙区特有の「補欠選挙」からの段階的導入
横浜市のような370万人を超える大都市こそ、投票の効率化による行政コストの削減や利便性向上に向けて、電子投票・ネット投票の実現へ歩みを進めるべきです。
政令指定都市は選挙区が行政区ごとに分かれている為、議員の辞職等により「選挙区の定数が6分の1を割る」と、その都度個別に補欠選挙が発生する仕組みになっています。
この頻繁に発生する補欠選挙には、1回あたり約1億円という莫大な公費(行政コスト)がかかっており、大きな財政負担となっています。
そこで、この「定数6分の1割れによる行政区ごとの補欠選挙」を、電子投票・ネット投票の先行的なモデルケースとして位置づけ、段階的に検討・導入していくことを提案します。対象エリアを絞った補選であればリスクをコントロールしやすく、大幅なコスト削減効果の検証や運用ノウハウの蓄積、さらには市民のデジタル投票に対する理解を深める絶好の契機となると確信しています。
選挙は民主主義の根幹であり、その機会をより身近にし、かつ持続可能な運営体制を築くことは、これからの大都市経営における最重要テーマの一つです。 2017年のエストニア視察での先進的な知見、そして今回の国内ベンダーの現状調査を踏まえ、単なる効率化に留まらない、安全で信頼性の高い「未来の投票スタイル」の確立に向けて、今後の議会活動等を通じて積極的に提言してまいります。
横浜市会議員:山下正人