公園のトイレを巡る「地域のジレンマ」と深刻な課題
日頃から、市民の皆様より「公園にトイレを設置してほしい」というご要望を多くいただきます。
しかし、公園のトイレ設置には、一筋縄ではいかない深刻な側面があります。
公園から少し離れた場所にお住まいの方にとっては利便性のために不可欠な一方、公園のすぐ近くにお住まいの方にとっては「自宅の目の前に公衆トイレができるのは避けたい」「自宅に戻れば済むので不要」となるケースが少なくありません。
このように、身近な公園のトイレ問題は、一歩間違えると地域住民の間の「分断」につながる恐れがあり、非常に慎重な舵取りが求められる問題です。
一方で、高齢化社会への対応や、子どもたちの健全な遊び場の確保という観点から見れば、トイレがあることで公園の活用頻度や可能性が大きく広がることもまた事実です。

地域の合意を生んだ「荏子田太陽公園」の先進事例
私の地元には「荏子田太陽公園」という街区公園があります。
ここは地元のイベントはもちろん、近隣の小学校や保育園などにも広く活用されている大切な場所です。
しかし以前はトイレがなく、大勢が集まるイベントの際には近くの商店のトイレをお借りせざるを得ない状況で、地域からはトイレ設置を渇望する声が強く上がっていました。

設置にあたり、当然ながら市当局からは「地域住民の合意形成」を求められました。
そこで私たちは、単にトイレを建てるのではなく、地域の皆様に広く受け入れていただけるスキームを模索しました。
行き着いた答えが、「防災倉庫」の機能を持たせ、さらに地域の美化活動などを担う「ボランティア団体の休憩スペース」を兼ね備えた、『トイレ付き休憩所』という体裁での整備です。
地域の安全を守る拠点、そして街を良くする方々の憩いの場という付加価値をつけることで、住民の皆様の同意をいただき、念願のトイレ設置を実現することができました。
一つのきっかけで、寂れた公園が「地域に不可欠な場所」へ
要は、課題に直面したときに、アイデアを駆使して「地元の同意が得られる仕組み(スキーム)」をいかに組み立てられるか、それが解決の鍵となります。
かつては少し寂れた印象のあった荏子田太陽公園ですが、今月も満開の薔薇に囲まれて「太陽公園ローズフェスティバル」が開催され、多くの人々で大いに賑わいました。

トイレの設置という一つのきっかけと知恵が、公園を地域になくてはならない場所へと進化させ、見事に蘇らせた好事例です。
これからも、地域の声を形にするための「知恵とアイデア」を絞り、一歩進んだ地域づくりに邁進してまいります。
横浜市会議員:山下正人