50億円投入の前に問うべき3つの課題
横浜市は現在、野毛山動物園の再整備事業を計画しています。予算規模は50億円に上る見込みであることから、現状の課題を把握すべく現地を視察してまいりました。
同園は昭和26年に開園した、横浜市で最も歴史のある動物園です。
平成11年の「よこはま動物園ズーラシア」開園時にすべての動物を移転する計画もありましたが、市民の強い要望を受けて存続した経緯があります。
桜木町駅から徒歩圏内という中心部に位置しながら、「入園料無料」の動物園として広く親しまれてきました。私自身、市北部在住ということもあり、これまでズーラシアには何度も足を運んでいましたが、野毛山動物園の視察は今回が初めてとなります。
市民に愛されてきた歴史は重いものの、50億円という巨額の市税を投入して大規模改修を行う以上、以下の3点について厳しく検証・検討する必要があると考えます。

1. 「入園料無料」の継続は妥当か
50億円もの公金を投じるにあたり、これまで通りの無料運営を前提として良いのでしょうか。今後の維持管理費や動物福祉の向上に向けた財源確保の観点からも、一定の受益者負担(有料化や寄付制度の強化)を検討すべき局面に来ているのではないでしょうか。
2. 「ホッキョクグマ・ゴーゴ」死亡事故の検証と、動物福祉の担保
記憶に新しいホッキョクグマ「ゴーゴ」の死亡事故において、市側の検証や再発防止策への説明は未だ十分とは言えません。
市民や専門家からの不信感が拭えない中で、今回の改修が単に見栄えを良くするだけの「ハコモノ行政」に終わらず、真に動物福祉(環境エンリッチメントなど)に配慮された構造になるのか、厳しくチェックせねばなりません。

3. 「動物園条例」なき再整備の是非
横浜市には、動物園の理念や配置・運営基準を定めた「動物園条例」が存在しません。
今後、市内の3動物園(ズーラシア・野毛山・金沢)を長期的に維持していくのであれば、まずは自治体としての明確な理念を条例として制定すべきです。
根拠となる条例がないまま、ハコモノだけを立派にすることには強い疑問が残ります。
以上の視点に基づき、今回の視察で見えてきた諸問題を今後さらに深く検証し、市民の皆様の納得が得られる持続可能な動物園運営に向けて、議会等で提言を続けてまいります。
横浜市会議員 山下正人