今週は、私が現在、市議会で推進に向けて動いている政策テーマ、「宅配ボックス設置への公的助成」について、その意義と課題をお話しさせてください。
「マンションや戸建ての設備に、なぜ大切な税金を使うのか?」 当然、そう疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
私も当初は慎重に考えていました。しかし、調査を進める中で、これは単なる「個人の利便性向上」の枠を超え、横浜市全体で取り組むべき「環境対策」であり、私たちの生活基盤を守る「環境・物流対策」であると確信するに至りました。
導入を推進する理由は大きく2つ、そして制度設計において絶対に外せない条件が2つあります。

意義1:「再配達」という名の環境負荷を減らす
皆さんは、一度の配達で受け取れなかった荷物が再配達される際、どれだけのCO2が排出されているかご存知でしょうか。
横浜市は、温室効果ガス排出量のうち、自動車などの「運輸部門」が占める割合が約25%に達しています。
これは全国平均(約18%)と比べても非常に高い数字です。つまり、横浜の脱炭素を進めるには、車の排気ガス対策が避けて通れません。
何も生まない「再配達」のために、トラックが市内を走り回り、CO2を排出する。これは環境未来都市・横浜として見過ごせない「ロス」です。
東京都の荒川区や江東区では、すでにこの観点から宅配ボックスを「省エネ設備」と位置づけ、助成を開始しています。横浜もこの流れに続くべきです。
意義2:物流という「ライフライン」の崩壊を防ぐ
もう一つの切実な理由は、物流業界が直面している「2024年問題」です。
ドライバー不足が深刻化する中、現場の方々は長時間労働で私たちの生活を支えてくださっています。
ある調査では、宅配便の約1割強が再配達になっていると言われています。
想像してみてください。重い荷物を抱えて階段を上がり、不在で持ち帰り、また後日、同じ場所に運ぶ。
この徒労感が、ドライバーの方々の心身をどれだけ削っていることか。
物流は、水道や電気と同じく、都市機能を維持するための重要な「ライフライン」です。
ドライバーが疲弊し、物流網が維持できなくなれば、困るのは私たち市民自身なのです。

責任ある制度設計に向けて
バラマキにはさせない 一方で、この政策を進めるにあたっては、税金を投入する以上、徹底した規律が必要です。
私は以下の2点を制度設計の条件として求めていきます。
公金を使う以上、必要以上の高額な製品への補助は適切ではありません。
「再配達防止」という機能を果たすために必要なラインを見極め、助成額に上限を設けることで、費用対効果の高い制度にします。
実際にそのエリアで「再配達率がどれだけ下がったのか」「CO2削減にどれだけ寄与したのか」というデータの検証が不可欠です。
しっかりと数値で効果を測定し、市民の皆様に「税金を使って正解だった」と納得していただける成果(エビデンス)を示していく責任があります。
結論
規律ある「未来への投資」を 環境負荷は続き、ドライバーの離職は待ったなしの状況です。
個人の自助努力だけに任せず、行政が「初期投資」として後押しする。それによって再配達を減らし、社会全体の損失を防ぐ。
これは特定の個人のためではなく、社会課題解決のための合理的な投資です。
「緑の油田計画」をはじめ、私は常に「環境と経済が循環する横浜」を目指して活動してきました。
この宅配ボックス助成も、ただの補助金ではなく、環境と物流を守る確かな一歩とするために。
皆様の大切な税金をお預かりする立場として、規律ある制度の実現に向け、議会で粘り強く議論してまいります。
横浜市会議員:山下正人